春の池の玉藻に遊ぶにほ鳥の
足のいとなき恋もするかな
- 歌の意味
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春の池の美しい藻の間で遊ぶかいつぶりが、水の下で絶えず足を動かして休む間もないように、私も休む暇のない恋をしていることだ。
- 鑑賞
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巻第二 春歌中 72
詞書「題しらず」
春の池で藻の間を泳ぐかいつぶりが、水面下で絶え間なく足を動かしているさまに、休む間もなく思い悩む恋をたとえた歌である。のどかに見える鳥の姿の裏にある忙しさを、人知れず苦しむ恋心に重ねている。
作者の宮道高風は宮道氏の人であるが、経歴は詳らかでない。
初句「春の池の」は、六音の字余りで、春ののどかな池を示す。
二句「玉藻に遊ぶ」の「玉藻」は藻の美称で、藻の間を泳ぎ遊ぶさまを表す。
三句「にほ鳥の」は、水に潜るのが巧みな鳥であるかいつぶりを示す。初句から三句までが、「足のいとなき」を導く序詞となっている。
四句「足のいとなき」の「いとなし」は暇がない意で、水面下で絶えず足を動かすかいつぶりのさまを表す。
結句「恋もするかな」の「かな」は詠嘆で、暇なく思い悩む恋をしていることよ、の意である。本巻の第七十首、第七十一首の恋の贈答に続けて、恋の歌が配されている。
にほどり:かいつぶり、水に潜るのが巧みな水鳥
たまも:藻の美称
- 作者
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宮道高風
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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我がために思はぬ山の音にのみ 花さかりゆく春を恨みむ
- 次の歌
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山風の花の香かどふ麓には 春の霞ぞほだしなりける