夏の夜は逢ふ名のみして敷妙の
塵払ふ間に明けぞしにける
- 歌の意味
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夏の夜は、逢ったという評判ばかりが立って、寝床の塵を払っている間に明けてしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第四 夏歌 169
詞書「題しらず」
夏の夜は短く、逢ったという評判ばかりが立って、寝床の塵を払っているうちに明けてしまったと詠んだ歌である。夏の短夜の恨めしさを、契りを交わす間もない恋のはかなさに重ねている。
作者の藤原高経は藤原長良の子で、藤原基経の弟にあたる。右兵衛督などを務めた。
初句「夏の夜は」は、夏の短い夜を示す。本巻の第百七十首、第百七十一首も夏の夜を詠み、短夜の恋のはかなさを主題とする歌が続いている。
二句「逢ふ名のみして」は、逢ったという評判ばかりが立って、の意で、実際には契る間もなかったことを示す。
三句「敷妙の」は、寝床や枕にかかる枕詞で、ここでは寝床を示している。
四句「塵払ふ間に」は、寝床の塵を払っている間に、の意で、共寝の支度をするわずかな時間を表している。
結句「明けぞしにける」は、明けてしまったことだ、の意で、「ぞ」は係助詞、連体形「ける」と係り結びをなす。夏の夜の短さを誇張して嘆いている。
しきたへ:寝床や枕、またそれにかかる枕詞
- 作者
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藤原高経
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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葦引の山下水は行き通ひ 琴の音にさへ流るべらなり
- 次の歌
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夢よりもはかなき物は夏の夜の 暁がたの別れなりけり