織女も逢ふ夜ありけり天の河
この渡りには渡る瀬もなし
- 歌の意味
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織女にさえ逢う夜があったのだ。天の川の、このあなたのあたりの渡しには、渡る瀬もないことだ。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌上 229
詞書「七日、女のもとにつかはしける」
織女にさえ年に一度逢う夜があるのに、あなたのあたりには渡る瀬もないと、逢えないつらさを訴えた歌である。七夕の夜に、織女よりも恵まれない自身の恋を嘆いている。
詞書によれば、七月七日に女のもとへ送ったものである。
作者の藤原兼三は平安時代中期の官人で、後撰和歌集に歌が採られているが、詳しい経歴はあまり伝わらない。
初句「織女も」の「も」は、織女でさえも、の意を表す。
二句「逢ふ夜ありけり」は、逢う夜があったのだ、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。ここで句切れとなる。
三句「天の河」は、天の川、の意で、本巻に続く天の川の歌の一首である。
四句「この渡りには」の「渡り」は、川の「渡し場」の意と、「あたり、付近」の意を掛けた掛詞である。あなたのいるこのあたりには、の意を込めている。
結句「渡る瀬もなし」は、渡る浅瀬もない、の意で、「渡り」と「渡る」「瀬」は縁語である。前歌の第二百二十八首の「浅き瀬知らず」に通じる趣向である。
わたり:川の「渡し場」の意と、「あたり、付近」の意を掛ける
せ:川の浅く流れの速い所、浅瀬
- 作者
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藤原兼三
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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水まさり浅き瀬知らずなりぬとも 天の門渡る舟もなしやは
- 次の歌
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彦星のまれに逢ふ夜のとこ夏は 打ち払へども露けかりけり