秋来れば野もせに虫の織り乱る
声の綾をば誰か着るらん
- 歌の意味
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秋が来ると、野いっぱいに虫が織り乱す声の綾を、いったい誰が着るのだろう。
- 鑑賞
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巻第五 秋歌上 262
詞書「題しらず」
秋が来ると野一面に虫が鳴き乱れる声を、織り乱した綾織物に見立て、その綾を誰が着るのだろうと詠んだ歌である。さまざまな虫の声が入り交じるさまを、模様を織り出した絹織物にたとえた機知の歌である。
作者の藤原元善は平安時代前期から中期の官人で、後撰和歌集に歌が採られているが、詳しい経歴はあまり伝わらない。
初句「秋来れば」は、秋が来ると、の意で、本巻の第二百四十四首と同じ初句である。
二句「野もせに虫の」の「野もせ」は、野も狭いほど、野一面に、の意である。
三句「織り乱る」は、織り乱す、の意で、虫の声が入り乱れることを機織りにたとえている。本巻の第二百五十七首の「声乱れけり」に通じる。
四句「声の綾をば」は、声の綾織物を、の意で、「織り」と「綾」は縁語である。
結句「誰か着るらん」の「か」は疑問の係助詞で、連体形「らん」と係り結びをなし、誰が着るのだろう、の意である。「着る」も「綾」の縁語である。
のもせ:野も狭いほど、野一面
あや:斜めの模様を織り出した絹織物
おりみだる:入り乱れるように織る
- 作者
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藤原元善
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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秋風のやや吹きしけば野を寒み わびしき声に松虫ぞ鳴く
- 次の歌
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風寒み鳴く秋虫の涙こそ 草葉色どる露と置くらめ