問ふことの秋しもまれに聞こゆるは
かりにや我を人のたのめし
- 歌の意味
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訪れがよりによって秋に、まれに聞こえてくるのは、あの人が私を、仮そめにあてにさせたからだろうか。
- 鑑賞
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巻第七 秋歌下 426
詞書「離れにける男の、秋問へりけるに」
あの人の訪れが、よりによって秋にまれに聞こえてくるのは、仮そめに私をあてにさせたからだろうかと詠んだ歌である。秋にだけ渡ってくる雁のように、まれにしか訪れない男の不実を恨んでいる。
詞書によれば、関係の絶えてしまった男が、秋になって訪ねてきたときに詠んだものである。「秋」には「飽き」が、「かり」には「雁」が響き、心変わりした男がたまたま訪れたことへの皮肉を込めている。
作者の「むかしの承香殿のあこき」は、かつて承香殿に住んだ女御に仕えた女房である。伝は詳らかでない。
初句「問ふことの」は、訪れることが、の意である。
二句「秋しもまれに」の「しも」は強めの副助詞で、よりによって秋に、まれに、の意である。「秋」には、心が離れる意の「飽き」が響いている。本巻の第四百二十八首も同じ「秋しも」を二句に置いている。
三句「聞こゆるは」は、聞こえてくるのは、の意である。
四句「かりにや我を」の「かり」は、かりそめの意の「仮」と、秋に渡ってくる「雁」を掛けた掛詞である。「や」は疑問の係助詞である。
結句「人のたのめし」の「たのむ」は、下二段活用で、あてにさせる意である。「し」は過去の助動詞「き」の連体形で、四句の「や」と係り結びをなし、あてにさせたのだろうか、の意である。
かり:かりそめの意の「仮」と、秋に渡ってくる「雁」を掛ける
たのむ:あてにさせる、期待させる
かる:関係が絶える、疎遠になる
- 作者
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承香殿あこき
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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秋深みよそにのみ聞く白露の 誰が言の葉にかかるなるらん
- 次の歌
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君恋ふと涙に濡るるわが袖と 秋の紅葉といづれまされり