つらしともいかが恨みん郭公
わが宿近く鳴く声はせで
- 歌の意味
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薄情だと、どうして私を恨むことができよう。ほととぎすのようなあなたは、私の家の近くで鳴く声も立てないのに。
- 鑑賞
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巻第九 恋歌一 547
詞書「男の、ここかしこに通ひ住む所多くて、常にしも訪はざりければ、女もまた色好みなる名立ちけるを、恨み侍りける返事に」
ほととぎすのようなあなたは私の家の近くで鳴きもしないのに、どうして私を薄情だと恨めようか、と詠んだ歌である。あちこちに通う男をほととぎすにたとえ、自分を責める男を切り返している。
詞書によれば、男があちこちに通う所が多く、いつも訪れるわけではなかったうえ、女にも浮気だという噂が立ったのを男が恨んだので、その返事として詠んだ歌である。次歌は男の返歌で、二首は贈答の一組となっている。
作者は「源たのむがむすめ」とあり、源たのむの娘の意である。名は伝わらない。
初句「つらしとも」は、薄情だとも、の意である。
二句「いかが恨みん」は、どうして恨むことができようか、の意で、反語を表している。ここで句切れとなる。
三句「郭公」は、ほととぎすで、男をたとえている。次歌の三句にも「郭公」が置かれている。
四句「わが宿近く」は、私の家の近くで、の意である。
結句「鳴く声はせで」の「で」は打消しの接続助詞で、鳴く声も立てないで、の意である。男が訪れてこないことをいっている。
ほととぎす:夏を告げる鳥、ここでは男をたとえる
やど:住まい、家
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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人恋ふる涙は春ぞぬるみける 絶えぬおもひのわかすなるべし
- 次の歌
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里ごとに鳴きこそ渡れ郭公 すみか定めぬ君尋ぬとて