植ゑて見る我は忘れであだ人に
まづ忘らるる花にぞありける
- 歌の意味
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植えて眺める私は忘れることなどなく、かえって不実な人に、まず忘れられてしまう花であったのだ。
- 鑑賞
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巻第九 恋歌一 552
詞書「返し」
忘れ草を植えて眺める私は忘れることなく、かえって不実なあなたにまず忘れられる花だった、と詠んだ歌である。前歌で忘れ草の花だと責められたのに対し、忘れられているのはむしろ自分のほうだと切り返している。
前歌への返歌である。前歌の「忘るる草の花」を受けて「忘らるる花」と返し、忘れる側と忘れられる側を反転させている。
作者は「たいふのこといふ人」とあり、女房の呼び名と考えられるが、誰を指すかは定かでない。
初句「植ゑて見る」は、忘れ草を植えて眺める、の意である。
二句「我は忘れで」の「で」は打消しの接続助詞で、私は忘れないで、の意である。
三句「あだ人に」は、浮気で不実な人に、の意で、前歌の作者をさしている。
四句「まづ忘らるる」は、真っ先に忘れられる、の意で、前歌の四句「忘るる草の」と対応し、忘れる側と忘れられる側を入れ替えている。
結句「花にぞありける」は、花であったのだ、の意で、係助詞「ぞ」と連体形「ける」が係り結びをなしている。前歌の結句「花にやはあらぬ」を受けている。
あだびと:浮気で誠意のない人
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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思ふとは言ふものからにともすれば 忘るる草の花にやはあらぬ
- 次の歌
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浦わかずみるめ刈るてふ海人の身は 何かなにはの方へしも行く