思ふとは言ふものからにともすれば
忘るる草の花にやはあらぬ
- 歌の意味
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思っているとは言うものの、ややもすれば、忘れるという名の草の花ではないのか。
- 鑑賞
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巻第九 恋歌一 551
詞書「女のもとより、忘れ草に文をつけておこせて侍りければ」
思っているとは言いながら、ともすれば忘れるという名の忘れ草の花ではないのか、と詠んだ歌である。女が忘れ草に手紙をつけてよこしたのを受け、その草の名をとらえて、口では思うと言いながら忘れるつもりではないかと責めている。
詞書によれば、女のもとから忘れ草に手紙を結びつけてよこしてきたので詠んだ歌である。次歌は女の返歌で、二首は贈答の一組となっている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「思ふとは」は、思っているとは、の意である。
二句「言ふものからに」は、言うものの、の意で、逆接を表している。
三句「ともすれば」は、ややもすれば、の意である。
四句「忘るる草の」は、忘れ草のことで、身につけると憂いを忘れるとされた萱草をいう。次歌の四句「まづ忘らるる」がこれを受けている。
結句「花にやはあらぬ」の「やは」は反語で、花ではないのか、花にちがいない、の意である。
わすれぐさ:萱草、身につけると憂いを忘れるとされた草
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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逢ふことのかた糸ぞとは知りながら 玉の緒ばかり何によりけん
- 次の歌
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植ゑて見る我は忘れであだ人に まづ忘らるる花にぞありける