今日過ぎば死なましものを夢にても
いづこをはかと君が問はまし
- 歌の意味
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お便りのないまま今日が過ぎていたら、私は死んでしまっていたでしょうに。そうなっていたら、夢の中でさえ、どこを私の墓と思ってあなたは訪ねてくださったでしょうか。
- 鑑賞
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巻第十 恋歌二 640
詞書「まかり出でて御文つかはしたりければ」
お便りのないまま今日が過ぎていたら死んでいたであろう、そうなれば夢の中でさえどこを墓としてあなたは訪ねてくれただろうか、と詠んだ歌である。帝からの手紙をいただいた喜びを、死をも思わせる深い恋しさとともに表している。
詞書によれば、宮中から里へ退出していたところに、醍醐天皇からお手紙があったので詠んだ歌である。次歌の第六百四十一首は醍醐天皇の御返しである。
作者の中将更衣は、醍醐天皇に仕えた更衣で、中将と呼ばれた女性である。経歴は詳しく伝わらない。
初句「今日過ぎば」は、今日が過ぎていたら、の意で、お便りがないまま今日が過ぎていたら、という仮定である。
二句「死なましものを」は、死んでしまっていたでしょうに、の意で、「まし」は反実仮想の助動詞である。ここで句切れとなる。
三句「夢にても」は、夢の中でさえ、の意である。次歌の第六百四十一首は三句に「夢とのみ」を置き、この「夢」を受けている。
四句「いづこをはかと」の「はか」は、「墓」と、目当ての意の「はか」を掛けた掛詞で、どこを墓とも目当てともして、の意である。
結句「君が問はまし」は、あなたが訪ねてくださったでしょうか、の意で、二句と同じく反実仮想の「まし」で結んでいる。
はか:「墓」の意と、目当ての意を掛ける
まかりいづ:宮中から退出する
とふ:訪ねる、見舞う
- 作者
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中将更衣
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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見ぬほどに年のかはれば逢ふことの いやはるばるに思ほゆるかな
- 次の歌
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現にぞ問ふべかりける夢とのみ 迷ひしほどや遥けかりけん