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恋しさは寝ぬに慰むともなきに
あやしくあはぬめをも見るかな

歌の意味
恋しさは、眠らずにいても慰められるわけでもないのに、不思議なことに、まぶたも合わずに眠れず、逢えないつらい目にあっていることだ。
鑑賞
巻第十 恋歌二 671

詞書「題しらず」
 恋しさは眠らずにいても慰められないのに、不思議とまぶたも合わず、逢えないつらい目を見ている、と詠んだ歌である。眠れぬ夜を重ねても逢えない恋の苦しさを、「目」の掛詞で表している。
 本巻の第六百二十首も、夢でさえ逢えない嘆きを詠んでおり、眠りと逢瀬を結びつける趣向を共有している。
 作者の源うかぶは、平安時代中期の人物で、経歴は詳しく伝わらない。

 初句「恋しさは」は、恋しさは、の意である。
 二句「寝ぬに慰む」は、眠らずにいても慰められる、の意である。
 三句「ともなきに」は、わけでもないのに、の意である。
 四句「あやしくあはぬ」は、不思議なことに合わない、逢えない、の意で、結句の「め」とあわせて、まぶたが「合はぬ」意と、人に「逢はぬ」意を掛けている。
 結句「めをも見るかな」の「め」は、まぶたの意の「目」と、つらい経験の意の「目」を掛けた掛詞で、「かな」は詠嘆の終助詞である。

あふ:まぶたが「合ふ」意と、人に「逢ふ」意を掛ける
め:まぶたの意の「目」と、つらい経験の意の「目」を掛ける
作者
源うかぶ
出典
後撰和歌集
前の歌
白浪の寄する磯間を漕ぐ舟の 楫取りあへぬ恋もするかな
次の歌
久しくも恋ひわたるかな住の江の 岸に年経る松ならなくに