白浪の寄する磯間を漕ぐ舟の
楫取りあへぬ恋もするかな
- 歌の意味
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白波が寄せる磯の間を漕ぐ舟が楫を操りきれないように、思うままにならない恋をすることだ。
- 鑑賞
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巻第十 恋歌二 670
詞書「題しらず」
白波の寄せる磯の間を漕ぐ舟が楫を取りきれないように、思うままにならない恋をする、と詠んだ歌である。荒波に翻弄される舟に、自分でも制しきれない恋心を重ねている。
本巻の第六百四十六首、第六百七十三首と同じく、結句を「恋もするかな」としている。
作者の大伴黒主は、近江の国の人と伝えられ、六歌仙の一人である。
初句「白浪の」は、白波が、の意である。
二句「寄する磯間を」は、寄せてくる磯の間を、の意である。
三句「漕ぐ舟の」は、漕ぐ舟が、の意で、初句から三句までが四句の「楫取りあへぬ」を導く序詞となっている。
四句「楫取りあへぬ」は、楫を操りきれない、の意で、心を思うままに制しきれないことのたとえである。
結句「恋もするかな」は、恋をすることだ、の意で、本巻の第六百四十六首、第六百七十三首と同じ結句である。
いそま:磯の岩と岩の間
かぢ:舟を漕ぐ道具、櫂や櫓
- 作者
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大伴黒主
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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世の常の音をし泣かねば逢ふことの 涙の色も殊にぞありける
- 次の歌
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恋しさは寝ぬに慰むともなきに あやしくあはぬめをも見るかな