つらからぬ中にあるこそ疎しといへ
隔てはててし衣にやはあらぬ
- 歌の意味
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仲の冷たくない間柄にあってこそ、よそよそしいとも言えるものだ。この衣は、すっかり隔てられてしまった二人の間の衣ではないか。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌三 734
詞書「離れ方になりにける男のもとに、装束調じて送れりけるに、かかるからに疎き心地なんすると言へりければ」
冷たくない仲であればこそよそよそしいとも言えようが、この衣はすっかり隔てられた仲の衣ではないか、と詠んだ歌である。装束を贈られてかえって他人行儀な気がすると言った男に、心を隔てたのはあなたのほうだと切り返している。
詞書によれば、通いが途絶えがちになった男のもとに装束を仕立てて送ったところ、男が、こうされるとかえってよそよそしい気がすると言ってきたので詠んだ歌である。
作者の「小野遠興かむすめ」は、小野遠興の娘である。経歴は詳しく伝わらない。
初句「つらからぬ」は、冷たくない、薄情でない、の意である。
二句「中にあるこそ」は、仲にあってこそ、の意で、「中」は男女の仲をいう。「こそ」は強めの係助詞である。
三句「疎しといへ」は、よそよそしいと言うものだ、の意で、二句の「こそ」を受けて已然形「いへ」で結ぶ係り結びとなっている。男の「疎き心地」という言葉を受けている。
四句「隔てはててし」は、すっかり隔ててしまった、の意で、衣が身を隔てるものであることを踏まえている。
結句「衣にやはあらぬ」は、衣ではないか、の意で、「やは」は反語を表す。
さうぞく:衣服、装い
へだてはつ:すっかり隔ててしまう
- 作者
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小野遠興の娘
- 出典
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後撰和歌集
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つれもなき人に負けじとせしほどに 我もあだ名は立ちぞしにける
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常盤なる日陰のかづら今日しこそ 心の色に深く見えけれ