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常盤なる日陰のかづら今日しこそ
心の色に深く見えけれ

歌の意味
いつまでも色を変えない日陰のかずらは、今日こそ、あなたを思う私の心の色として、深く見えることだ。
鑑賞
巻第十一 恋歌三 735

詞書「五節の所にて、閑院のおほい君につかはしける」
 常緑の日陰のかずらは、今日こそ私の心の色として深く見える、と詠んだ歌である。五節の舞姫などが髪に掛ける日陰のかずらの変わらぬ緑に、自分の心の深さと変わらなさを託している。
 詞書によれば、五節の舞の控えの所で、閑院の大君に送った歌である。次歌の第七百三十六首は大君の返しである。
 作者の「もろまさの朝臣」は藤原師尹と考えられる。関白藤原忠平の子で、左大臣にまで昇った。

 初句「常盤なる」は、いつまでも色の変わらない、の意である。
 二句「日陰のかづら」は、ヒカゲノカズラというつる性の植物で、五節や新嘗祭などの神事の際に冠や髪に掛けて飾りとした。
 三句「今日しこそ」は、今日こそ、の意で、「し」は強めの副助詞、「こそ」は強めの係助詞である。
 四句「心の色に」は、私の心の色として、の意で、日陰のかずらの緑を心の色に見立てている。次歌の第七百三十六首の四句「色を常盤に」は、本歌の「常盤」と「色」を取って応じている。
 結句「深く見えけれ」は、深く見えることだ、の意で、三句の「こそ」を受けて已然形「けれ」で結ぶ係り結びとなっている。

ときは:永久に変わらないこと、常緑
ひかげのかづら:ヒカゲノカズラ。神事の際に冠などに掛けて飾りとした
ごせち:新嘗祭や大嘗祭に行われた少女の舞、またその行事
作者
藤原師尹
出典
後撰和歌集
前の歌
つらからぬ中にあるこそ疎しといへ 隔てはててし衣にやはあらぬ
次の歌
誰となくかかるおほみに深からん 色を常盤にいかが頼まん