春をだに待たで鳴きぬる鶯は
古巣ばかりの心なりけり
- 歌の意味
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春さえ待たずに鳴いて出ていってしまった鶯は、古巣くらいにしか思わない心だったのだなあ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌三 738
詞書「左兵衛督師尹朝臣につかはしける」
春さえ待たずに鳴いて去った鶯は、古巣ほどにしか思わない心だったのだ、と詠んだ歌である。自分のもとを離れていった男を、春を待たずに古巣を出ていく鶯にたとえ、その薄情を恨んでいる。
詞書によれば、左兵衛督藤原師尹に送った歌である。
作者の本院兵衛は、本院兵衛と呼ばれた女房である。経歴は詳しく伝わらない。
初句「春をだに」は、春さえも、の意で、「だに」は程度の軽いものをあげて他を類推させる副助詞である。
二句「待たで鳴きぬる」は、待たずに鳴いて去った、の意である。
三句「鶯は」は、鶯は、の意で、自分のもとを去った男をたとえている。
四句「古巣ばかりの」は、古巣くらいの、の意で、古巣は捨てられた自分をたとえている。
結句「心なりけり」は、心だったのだ、の意で、「なりけり」は気づきの詠嘆を表す。
ふるす:鳥が去った後の古い巣
- 作者
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本院兵衛
- 出典
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後撰和歌集
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誰となくおぼろに見えし月影に 分ける心を思ひ知らなん
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