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夕されば我が身のみこそ悲しけれ
いづれの方に枕定めむ

歌の意味
夕方になると、我が身ばかりが悲しく思われる。どちらの方角に枕を置いて寝ればよいのだろう。
鑑賞
巻第十一 恋歌三 739

詞書「題しらず」
 夕方になると我が身ばかりが悲しい、どの方角に枕を定めて寝ればよいのか、と詠んだ歌である。枕の向きによって恋しい人を夢に見られるという俗信を踏まえ、夢でさえ逢えるあてのない夜の寂しさを述べている。
 古今和歌集の「宵々に枕定めむ方もなし」の歌と同じく、枕を定める方角を詠んでいる。
 作者の「かねもちの朝臣女」は、藤原兼茂の娘である。父の兼茂は藤原利基の子で、藤原兼輔の兄にあたり、参議を務めた。

 初句「夕されば」は、夕方になると、の意である。
 二句「我が身のみこそ」は、我が身ばかりが、の意で、「こそ」は強めの係助詞である。
 三句「悲しけれ」は、悲しいことだ、の意で、二句の「こそ」を受けて已然形「けれ」で結ぶ係り結びとなっている。ここで句切れとなる。
 四句「いづれの方に」は、どちらの方角に、の意である。
 結句「枕定めむ」は、枕を定めようか、の意で、枕の向きを定めて恋しい人を夢に見ようとすることをいう。

ゆふさる:夕方になる
作者
藤原兼茂の娘
出典
後撰和歌集
前の歌
春をだに待たで鳴きぬる鶯は 古巣ばかりの心なりけり
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夢にだにまだ見えなくに恋しきは いつに習へる心なるらん