誰となくおぼろに見えし月影に
分ける心を思ひ知らなん
- 歌の意味
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誰とも見分けられないほどおぼろに見えた月の光の中で、あなたひとりを選び分けた私の心を、思い知ってほしい。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌三 737
詞書「藤壺の人々月夜にありきけるを見て、一人がもとにつかはしける」
誰とも分からずおぼろに見えた月の光の中で、あなたを見分けた私の心を知ってほしい、と詠んだ歌である。月夜に歩く女房たちの中から一人を選び出した思いの確かさを訴えている。
詞書によれば、藤壺の女房たちが月夜に歩いていたのを見て、そのうちの一人に送った歌である。なお本文の初句は「講となく」とあり、読み仮名の行の「たれとなく」と一致しない。「講」では意味が通らないため、ここでは読み仮名の行に従う。
作者の「きよたた」は藤原清正である。藤原兼輔の子で、紀伊守などを務めた。三十六歌仙の一人である。
初句「誰となく」は、誰ということもなく、の意である。前歌の第七百三十六首の初句と同じ句で、配列の上で並べられている。
二句「おぼろに見えし」は、ぼんやりと見えた、の意である。
三句「月影に」は、月の光の中で、の意である。
四句「分ける心を」は、見分けた心を、の意で、大勢の中からあなたを選び分けた思いをいう。
結句「思ひ知らなん」は、思い知ってほしい、の意で、「なん」は他に対する願望を表す終助詞である。
つきかげ:月の光
ふぢつぼ:宮中の飛香舎の別称
- 作者
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藤原清正
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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誰となくかかるおほみに深からん 色を常盤にいかが頼まん
- 次の歌
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春をだに待たで鳴きぬる鶯は 古巣ばかりの心なりけり