泣き流す涙のいとど添ひぬれば
はかなきみづも袖濡らしけり
- 歌の意味
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泣き流す涙がいっそう加わったので、「見つ」という頼りない一言の水までも、私の袖を濡らしたことだ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌三 764
詞書「町尻の君に文つかはしたりける返事に、見つとのみありければつかはしける」
泣き流す涙がいっそう加わったので、「見つ」という頼りない水も袖を濡らした、と詠んだ歌である。手紙の返事に「見た」とだけ書かれていたそっけなさを、「見つ」と「水」を掛けて嘆いている。
詞書によれば、町尻の君に手紙を送ったところ、返事に「見つ」とだけあったので送った歌である。
作者の「もろうちの朝臣」は藤原師氏である。関白藤原忠平の子で、大納言を務めた。
初句「泣き流す」は、泣いて流す、の意である。
二句「涙のいとど」は、涙がいっそう、の意である。
三句「添ひぬれば」は、加わったので、の意である。
四句「はかなきみづも」の「みづ」は、返事の「見つ」と「水」を掛ける掛詞である。
結句「袖濡らしけり」は、袖を濡らしたことだ、の意で、「けり」は気づきの詠嘆を表す。
みづ:返事の「見つ」の意と、「水」の意を掛ける
- 作者
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藤原師氏
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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山の端にかかる思ひの絶えざらば 雲居ながらもあはれと思はん
- 次の歌
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夢のごとはかなきものはなかりけり 何とて人に逢ふと見つらん