枝もなく人に折らるる女郎花
ねをだに残せ植ゑし我がため
- 歌の意味
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枝も残さず人に手折られてしまう女郎花よ、せめて根だけでも残しておけ。お前を植えた私のために。
- 鑑賞
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巻第十二 恋歌四 844
詞書「相知りて侍る女の、人にあだ名立ち侍りけるに、つかはしける」
枝も残さず人に折られる女郎花よ、せめて根だけでも残せ、植えた私のために、と詠んだ歌である。ほかの男との浮き名が立った女を女郎花にたとえ、せめて自分とも共寝してほしいと、恨みと未練をにじませている。
詞書によれば、親しくしていた女がほかの人と浮き名を立てたときに送った歌である。秋の景物を詠む一連の五首目である。
作者の「平まれよの朝臣」は平希世である。右中弁などを務めたが、延長八年(930)の清涼殿落雷の際に負傷して亡くなった。
初句「枝もなく」は、枝も残さず、の意である。
二句「人に折らるる」は、ほかの人に手折られる、の意で、女がほかの男になびくことをたとえている。
三句「女郎花」は、秋の七草の一つで、女性のたとえとして詠まれる花である。
四句「ねをだに残せ」は、根だけでも残せ、の意で、「ね」に草の「根」と「寝」を掛けている。命令形で強く訴え、ここで句切れとなる。
結句「植ゑし我がため」は、植えた私のために、の意で、四句と倒置になっている。女をはじめに見いだしたのは自分だという思いを込めている。
をみなへし:秋の七草の一つ。女性のたとえ
ね:草の「根」と、「寝」を掛ける
- 作者
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平希世
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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鏡山あけて来つれば秋霧の けさやたつらんあふみてふ名は
- 次の歌
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秋の田のかりそめ臥しもしてけるか いたづらいねを何につままし