伊勢の海の海人のまてかたいとまなみ
長らへにける身をぞうらむる
- 歌の意味
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伊勢の海の海人が両手を休めずに働いて暇がないように、私も暇がないままに、あなたを訪ねもせず生き長らえてしまった我が身を恨むことだ。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌五 916
詞書「心にもあらで久しく訪はざりける人のもとにつかはしける」
伊勢の海の海人のように暇がないまま、訪ねもせずに生き長らえてしまった我が身を恨む、と詠んだ歌である。休む間もなく働く海人に忙しい自分を重ね、心ならずも訪ねられなかったことを詫びている。
詞書によれば、本意ではなく長く訪ねなかった人のもとへ送った歌である。巻頭の第八百九十一首や第九百八首と同じく伊勢の海の海人に寄せており、伊勢の海の歌が巻の中に繰り返し配されている。
作者の源英明は、斉世親王の子で、母は菅原道真の娘である。左近衛中将に至った。
初句「伊勢の海の」は、伊勢の海の、の意である。
二句「海人のまてかた」は、海人が両手を休めずに働くさま、の意とみられ、「まて」は左右の手をいう。
三句「いとまなみ」は、暇がないので、の意で、「み」は原因や理由を表す接尾語である。
四句「長らへにける」は、生き長らえてしまった、の意で、訪ねもせずに月日を過ごしたことを表している。
結句「身をぞうらむる」は、我が身を恨むことだ、の意で、「うらむる」に「恨む」と、伊勢の海の縁で「浦」を響かせている。「ぞ」は強めの係助詞で、連体形「うらむる」で結ぶ係り結びとなっている。
あま:海に潜って魚介や海藻を採る人
まて:左右の手、両手
いとま:暇、休む間
うらむ:「恨む」に、海の縁語の「浦」を響かせる
- 作者
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源英明
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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霜置かぬ春よりのちのながめにも いつかは君が夜離れせざりし
- 次の歌
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逢ふことのかたのへとてぞ我はゆく 身を同じ名に思ひなしつつ