霜置かぬ春よりのちのながめにも
いつかは君が夜離れせざりし
- 歌の意味
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霜の置かない春から後の、長雨が降って物思いに沈む季節にも、いったいいつ、あなたが夜離れしなかったことがあっただろうか。
- 鑑賞
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巻第十三 恋歌五 915
詞書「返し」
霜の置かない春から後の長雨の季節にも、いつあなたが夜離れしなかったことがあっただろうか、と詠んだ歌である。霜の朝がつらいから来なかったという男の言い訳に対し、霜のない季節にも来なかったではないかと鋭く切り返している。
前歌の第九百十四首への返歌である。前歌の「おく霜」と「夜離れせましや」を受け、「霜置かぬ」と「夜離れせざりし」で答えており、言葉をそのまま返して男の言い訳を退けている。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「霜置かぬ」は、霜の置かない、の意で、前歌の「おく霜の」を打ち消す形で受けている。
二句「春よりのちの」は、春から後の、の意である。
三句「ながめにも」は、長雨の季節にも、の意で、「ながめ」に「長雨」と物思いに沈む「眺め」を掛けている。
四句「いつかは君が」は、いったいいつ、あなたが、の意で、「かは」は反語を表す係助詞である。
結句「夜離れせざりし」は、夜離れしなかったか、の意で、四句の「かは」を受けて連体形「し」で結んでいる。いつも夜離れしていたではないかという反語であり、前歌の結句の語を用いて答えている。
ながめ:「長雨」と、物思いに沈んでぼんやり見やる「眺め」を掛ける
よがる:男が女のもとへ通わなくなる、夜離れする
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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おく霜の暁起きを思はずは 君が夜殿に夜離れせましや
- 次の歌
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伊勢の海の海人のまてかたいとまなみ 長らへにける身をぞうらむる