住吉のきしとも言はじ沖つ浪
なほうちかけようらはなくとも
- 歌の意味
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住吉の岸だとも、着たとも言うまい。沖の波よ、それでもやはり打ちかけてくれ。浦はなくとも、裏はなくとも。
- 鑑賞
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巻第十五 雑歌一 1096
詞書「直垂乞ひにつかはしたるに、裏なんなき、それは着しとやいかがと言ひたれば」
住吉の岸とも言うまい、沖の波よ、浦がなくてもやはり打ち寄せてくれ、と詠んだ歌である。「きし」に岸と着し、「うら」に浦と裏を掛け、裏地のない直垂でもかまわないから貸してほしいと、住吉の浜の景に寄せて頼んでいる。
詞書によれば、直垂を貸してほしいと頼みにやったところ、裏地がないがそれでも着るのかどうか、と言ってきたので詠んだ歌である。
作者の藤原元輔は、後撰集の時代の人で、詳しい伝は未詳である。後撰集の撰者の清原元輔とは別人である。
初句「住吉の」は、摂津国の住吉の、の意で、浜辺の歌枕を置いている。
二句「きしとも言はじ」は、岸だとも言うまい、の意で、「きし」に住吉の「岸」と、着たの意の「着し」を掛け、詞書の「着しとや」に答えている。「じ」は打消の意志を表し、ここで句切れとなる。
三句「沖つ浪」は、沖の波、の意で、「つ」は「の」の意の古い格助詞である。波に呼びかけている。
四句「なほうちかけよ」は、それでもやはり打ちかけてくれ、の意で、波が打ち寄せる意に、衣を肩に打ちかける意を重ねている。
結句「うらはなくとも」は、浦はなくとも、の意で、「うら」に海辺の「浦」と、衣の「裏」を掛けている。「とも」は逆接の仮定を表し、四句と倒置になっている。
ひたたれ:衣服の一種。方領で袖括りのある上衣
きし:岸の意と、着たの意の「着し」を掛ける
うら:海辺の浦の意と、衣の裏地の意を掛ける
うちかく:波が打ち寄せる意と、衣を肩に打ちかける意を重ねる
- 作者
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藤原元輔
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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塩といへばなくてもからき世の中に いかであへたるたたみなるらん
- 次の歌
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言の葉に絶えせぬ露は置くらむや 昔おぼゆるまとゐしたれば