隔てける人の心のうきはしを
危ふきまでもふみ見つるかな
- 歌の意味
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私に隔てを置いていた人の心の浮橋を、危ういところまで踏んでみたことだ。隠していた手紙を見てしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第十五 雑歌一 1122
詞書「男の、女の文を隠しけるを見て、もとの妻の書きつけ侍りける」
隔て心のある人の心の浮橋を、危ういところまで踏んでみた、と詠んだ歌である。夫が別の女からの手紙を隠していたのを見つけ、「ふみ」に橋を踏む意と手紙の意を掛け、危うい夫婦の仲を浮橋にたとえて嘆いている。
詞書によれば、夫が女からの手紙を隠していたのを見て、もとからの妻が書きつけた歌である。
作者は「四条御息所女」と記され、四条御息所と呼ばれた女性の娘とみられるが、詳しい伝は未詳である。
初句「隔てける」は、隔てを置いていた、の意で、自分に隠しごとをしていた夫の心をいう。
二句「人の心の」は、その人の心の、の意である。
三句「うきはしを」は、浮橋を、の意で、水に舟などを並べて渡した不安定な橋をいう。「うき」に「憂き」を響かせている。
四句「危ふきまでも」は、危ういところまでも、の意で、浮橋の縁で仲の危うさをいう。
結句「ふみ見つるかな」は、踏んでみたことだ、の意で、「ふみ」に橋を「踏み」と、夫の隠した「文」を掛けている。「かな」は詠嘆を表す。
うきはし:水上に舟やいかだを並べて渡した橋。「憂き」を響かせる
ふみ:橋を踏む意と、手紙の意の「文」を掛ける
もとのめ:もとからの妻
- 作者
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四条御息所女
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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年を経て頼むかひなし常磐なる 松の梢も色変はりゆく
- 次の歌
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玉くしげふたとせ逢はぬ君がみを あけながらやはあらむと思ひし