宇治川の浪にみなれし君ませば
我も網代に寄りぬべきかな
- 歌の意味
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宇治川の波に水なれて、よく見慣れたあなたがいらっしゃるので、私も網代に寄る氷魚のように、ここに立ち寄ってしまいそうだ。
- 鑑賞
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巻第十六 雑歌二 1136
詞書「宇治の網代に知れる人の侍りければまかりて」
宇治川の波に慣れ親しんだあなたがいるので、私も網代に寄ってしまいそうだ、と詠んだ歌である。網代に寄る氷魚に自分をなぞらえ、宇治の網代の番をする知人のもとへ心ひかれて立ち寄る気持ちを、川の縁の言葉で表している。
詞書によれば、宇治の網代に知り合いがいたので出かけて行って詠んだ歌である。網代は冬に宇治川などで氷魚を捕るために設けられた仕掛けである。
作者の大江興俊は、大江氏の人であるが、詳しい伝は未詳である。
初句「宇治川の」は、山城国の宇治川の、の意で、網代で名高い所である。
二句「浪にみなれし」は、波に慣れ親しんだ、の意で、「みなれ」に水に「水馴れ」る意と、「見馴れ」る意を掛けている。
三句「君ませば」は、あなたがいらっしゃるので、の意で、「ませ」は「あり」の尊敬語「ます」の已然形である。
四句「我も網代に」は、私も網代に、の意で、網代に寄る氷魚に自らをなぞらえている。
結句「寄りぬべきかな」は、寄ってしまいそうだ、の意で、「ぬべし」は強い推量、「かな」は詠嘆を表す。網代に魚が寄る意と、知人のもとに立ち寄る意を重ねている。
みなる:水に馴れる意の「水馴る」と、見慣れる意の「見馴る」を掛ける
あじろ:竹や木を編んで川に仕掛け、氷魚などを捕る仕掛け
ひを:鮎の稚魚
- 作者
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大江興俊
- 出典
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後撰和歌集
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めづらしや昔ながらの山の井は 沈める影ぞ朽ち果てにける
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吹き出づるね所高く聞こゆなり 初秋風はいざ手ならさじ