数ならぬ身のみもの憂く思ほえて
待たるるまでもなりにけるかな
- 歌の意味
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物の数にも入らない我が身ばかりがつらく思われて、足が遠のくうちに、待たれるほどにまでなってしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌四 1260
詞書「返し」
数にも入らない我が身ばかりがつらく思われて、待たれるまでになってしまった、と詠んだ歌である。ほかに文をよこす人がいると聞いて、自分など物の数ではないと気後れして足が遠のいたが、待たれていたとは思いがけないと応じている。
前歌の女の母の歌に対する婿の返しで、前歌の「待つに」を受けて「待たるる」と応じている。
作者は「むこ」とあり、前歌の詞書にいう娘の婿を指す。名は伝わらない。
初句「数ならぬ」は、物の数にも入らない、の意で、手紙をよこす人に比べて取るに足りない身と卑下している。
二句「身のみもの憂く」は、我が身ばかりがつらく、の意である。
三句「思ほえて」は、思われて、の意である。
四句「待たるるまでも」は、待たれるほどにまで、の意で、「るる」は受身を表す。前歌の四句「待つに」を受けている。
結句「なりにけるかな」は、なってしまったことだ、の意で、「かな」は詠嘆を表す。
おもほゆ:自然に思われる
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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今来むと言ひしばかりを命にて 待つに消ぬべしさくさめの刀自
- 次の歌
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ありと聞く音羽の山の郭公 何か隠るらん鳴く声はして