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世の中を厭ひてあまの住む方も
うきめのみこそ見えわたりけれ

歌の意味
世の中を嫌って尼となって住む所も、海人の住む海辺に浮き布ばかりが見えるように、つらい目ばかりが一面に見えることだ。
鑑賞
巻第十八 雑歌四 1290

詞書「題しらず」
 世を厭って尼の住む所も、憂き目ばかりが見えわたる、と詠んだ歌である。「尼」と「海人」、「憂き目」と「浮き布」を掛け、世を捨てて移り住んでも、つらいことばかりが続く身を嘆いている。
 作者は「小町が姉」とあり、小野小町の姉にあたる女性とされるが、名は伝わらない。

 初句「世の中を」は、世の中を、の意である。
 二句「厭ひてあまの」の「あま」は、「尼」と「海人」を掛けた掛詞で、世を厭って出家した尼の意と、海辺に住む海人の意を重ねている。
 三句「住む方も」は、住む所も、の意である。
 四句「うきめのみこそ」の「うきめ」は、「憂き目」と、海に浮かぶ海藻の「浮き布」を掛けた掛詞で、「海人」の縁語である。「こそ」は強意の係助詞である。巻第十七の第千二百三十九首も結句で「世のうきめかな」と詠んでいる。
 結句「見えわたりけれ」は、一面に見えることだ、の意で、四句の「こそ」を受けて已然形「けれ」で結ぶ係り結びとなっている。

あま:「尼」の意と、「海人」を掛ける
うきめ:「憂き目」の意と、海に浮かぶ海藻の「浮き布」を掛ける
出典
後撰和歌集
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柞山峰の嵐の風をいたみ ふることの葉をかきぞ集むる
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