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柞山峰の嵐の風をいたみ
ふることの葉をかきぞ集むる

歌の意味
柞山の峰の嵐の風が激しいので、散り降る木の葉を掻き集めるように、古い歌の言葉を書き集めることだ。
鑑賞
巻第十八 雑歌四 1289

詞書「左大臣の書かせ侍りける草子の奥に書きつけ侍りける」
 柞山の峰の嵐が激しいので、降る木の葉をかき集める、と詠んだ歌である。「古言」に「降る」、「書き」に「掻き」を掛け、左大臣のために古い歌を書き集めたことを、嵐に散る木の葉をかき集めるさまにたとえている。
 詞書によれば、左大臣が書かせた草子の奥に書きつけた歌である。左大臣は藤原実頼を指すとみられ、貫之がその求めで書いた草子の末尾に添えた歌とみられる。
 作者の「つらゆき」は紀貫之である。紀望行の子で、古今和歌集の撰者の中心となり、仮名序を書いた。土佐日記の作者としても知られ、小倉百人一首には「人はいさ心も知らずふるさとは」の歌が採られている。

 初句「柞山」は、柞の木の生える山で、紅葉の名所として詠まれる。
 二句「峰の嵐の」は、峰を吹く嵐の、の意である。
 三句「風をいたみ」は、風が激しいので、の意で、「を」と「み」で理由を表す。
 四句「ふることの葉を」の「ふること」は、「古言」と「降る」を掛けた掛詞で、古い歌の言葉の意と、降り散る木の葉の意を重ねている。
 結句「かきぞ集むる」の「かき」は、「書き」と「掻き」を掛けた掛詞で、「ぞ」を受けて連体形「集むる」で結ぶ係り結びとなっている。

ははそやま:柞の木の生える山、紅葉の名所とされた
ふること:古い歌の意の「古言」と、「降る」を掛ける
かく:「書く」の意と、「掻く」を掛ける
さうし:紙を綴じた冊子
作者
紀貫之
出典
後撰和歌集
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