思ひかね妹がり行けば冬の夜の
川風寒み千鳥鳴くなり
- 歌の意味
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恋しさに耐えかねて恋しい人のもとへ行くと、冬の夜の川風が寒いので、千鳥が鳴いている。
- 鑑賞
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巻第四 冬歌 224
詞書「題しらず」
恋しさをこらえきれずに夜道を恋人のもとへ向かうと、冬の夜の川風の寒さに千鳥が鳴いていると詠む歌である。恋の思いの切なさと冬の夜の寒々とした景とを重ね、千鳥の声に作者自身の心細さを響かせている。恋の心と冬の景とを溶け合わせた歌として名高い。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。
初句「思ひかね」は、恋しい思いをこらえきれずに、の意である。
二句「妹がり行けば」は、恋しい女のもとへ行くと、の意で、「妹」は男性から恋人や妻を親しんで呼ぶ語、「がり」は、のもとへ、の意である。
三句「冬の夜の」は、冬の夜の、の意で、四句の「川風」を修飾する。
四句「川風寒み」は、川風が寒いので、の意で、形容詞の語幹に「み」をつけて原因や理由を表す語法である。
結句「千鳥鳴くなり」は、千鳥が鳴いているようだ、の意で、「なり」は音を聞いて判断する推定の助動詞である。本巻の第二百三十八首も同じく「千鳥鳴くなり」で結んでいる。
いもがり:恋しい女のもと
おもひかぬ:思いをこらえきれない
- 作者
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紀貫之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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蘆の葉に隠れて住みし津の国の こやもあらはに冬は来にけり
- 次の歌
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ひねもすに見れども飽かぬ紅葉葉は いかなる山の嵐なるらん