山川の音にのみ聞く百敷を
身をはやながら見るよしもがな
- 歌の意味
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山川の音のように、噂にばかり聞く宮中を、昔のままの身で見る手立てがあればよいのに。
- 鑑賞
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巻第十八 雑歌四 1291
詞書「昔あひ知りて侍りける人の、内にさぶらひけるがもとにつかはしける」
山川の音のように噂にばかり聞く宮中を、昔のままの身で見る手立てがあればよい、と詠んだ歌である。宮仕えを離れた身から、昔のように宮中を見たいという懐かしさを、宮中に仕える旧知に伝えている。
詞書によれば、昔から親しくしていた人で、宮中に仕えている人のもとに送った歌である。
作者の伊勢は、伊勢守藤原継蔭の娘で、宇多天皇の女御藤原温子に仕えた。宇多天皇の寵を受け、のちに敦慶親王との間に中務を生んだ。三十六歌仙の一人で、小倉百人一首には「難波潟短き葦のふしの間も」の歌が採られている。
初句「山川の」は、山の中を流れる川の、の意で、二句の「音」を導いている。
二句「音にのみ聞く」は、噂にばかり聞く、の意で、「音」は川の音と噂とを重ねている。
三句「百敷を」は、宮中を、の意である。本巻の第千二百六十六首の三句も「百敷の」と宮中を詠んでいる。
四句「身をはやながら」は、昔のままの身で、の意で、「はや」は以前のままであることを表す。「早」は「山川」の早瀬の縁語である。
結句「見るよしもがな」は、見る手立てがあればよい、の意で、「もがな」は願望を表す。
ももしき:宮中
よし:手立て、方法
- 作者
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伊勢
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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世の中を厭ひてあまの住む方も うきめのみこそ見えわたりけれ
- 次の歌
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世の中はいかにやいかに風の音を 聞くにも今は物や悲しき