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世の中はいかにやいかに風の音を
聞くにも今は物や悲しき

歌の意味
あなたとあの人の仲は、どうなのか、どうなのか。風の音を聞くにつけても、今はもの悲しいのだろうか。
鑑賞
巻第十八 雑歌四 1292

詞書「人に忘られたりと聞く女のもとにつかはしける」
 二人の仲はどうなのか、風の音を聞くにつけても今は悲しいのか、と詠んだ歌である。男に忘れられたと聞く女に、秋風の音を聞くにつけて悲しいのではないかと、気づかいを込めて尋ねている。
 詞書によれば、男に忘れられたと聞く女のもとに送った歌である。次歌は伊勢の返しで、二首は贈答の一組となっている。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「世の中は」は、男女の仲は、の意である。
 二句「いかにやいかに」は、どうなのか、どうなのか、の意で、同じ語を重ねて問いかけている。ここで句切れとなる。
 三句「風の音を」は、風の音を、の意で、秋風を思わせ、「飽き」の気配を含んでいる。
 四句「聞くにも今は」は、聞くにつけても今は、の意である。
 結句「物や悲しき」は、もの悲しいのだろうか、の意で、「や」は疑問の係助詞で、連体形「悲しき」で結ぶ係り結びとなっている。

よのなか:男女の仲
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
山川の音にのみ聞く百敷を 身をはやながら見るよしもがな
次の歌
世の中はいさともいさや風の音は 秋にあき添ふ心地こそすれ