君が手をかれゆく秋の末にしも
野飼ひに放つ馬ぞ悲しき
- 歌の意味
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あなたの手を離れて、草も枯れてゆく秋の末に、ちょうど野に放し飼いにされる馬のような私の身が悲しい。
- 鑑賞
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巻第十九 離別歌 1312
詞書「返し」
あなたの手を離れて、草の枯れゆく秋の末に野飼いに放たれる馬が悲しい、と詠んだ歌である。前歌で馬にたとえられたのを受け、親しい人のもとを離れて旅立つ自分を、晩秋の枯れ野に放たれる馬にたとえて、別れの心細さを訴えている。
前歌に対する返しである。
作者は「むま」とあり、詞書によれば伊勢へ下る人の呼び名で、詳しい伝は未詳である。
初句「君が手を」は、あなたの手を、の意である。
二句「かれゆく秋の」の「かれ」は、「離れ」と「枯れ」を掛けた掛詞で、あなたの手を離れてゆく意と、草の枯れてゆく秋の意を重ねている。
三句「末にしも」は、ちょうどその末に、の意で、「しも」は強意を表す。
四句「野飼ひに放つ」は、野に放して飼う、の意である。
結句「馬ぞ悲しき」は、馬が悲しい、の意で、前歌の「行く馬」を受け、自分の名の「むま」を重ねている。「ぞ」を受けて連体形「悲しき」で結ぶ係り結びとなっている。
かる:「離る」の意と、「枯る」を掛ける
のがふ:野に放して飼う
- 作者
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むま
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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惜しと思ふ心はなくてこのたびは 行く馬に鞭をおほせつるかな
- 次の歌
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今はとて立ち帰り行くふるさとの 不破の関路に都忘るな