今はとて立ち帰り行くふるさとの
不破の関路に都忘るな
- 歌の意味
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今はもうこれまでと、生まれ故郷へ帰って行くあなたよ、その故郷の美濃の不破の関の道で、都のことを忘れないでほしい。
- 鑑賞
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巻第十九 離別歌 1313
詞書「同じ家に久しう侍りける女の、美濃の国に親の侍りける、訪らひにまかりけるに」
今はこれまでと帰って行く故郷の不破の関路で、都を忘れるな、と詠んだ歌である。長く同じ家に仕えた女が、美濃の親を見舞うために帰郷するのに、故郷に落ち着いて都を忘れてしまうなと、名残を惜しんでいる。
詞書によれば、同じ家に長く仕えていた女が、美濃の国にいる親を見舞いに下った時に詠んだ歌である。
作者の「藤原きよただ」は藤原清正とみられる。藤原兼輔の子で、三十六歌仙の一人に数えられる。
初句「今はとて」は、今はもうこれまでと、の意である。
二句「立ち帰り行く」は、帰って行く、の意である。
三句「ふるさとの」は、生まれ故郷の、の意で、女の親のいる美濃を指している。
四句「不破の関路に」は、美濃の不破の関の道で、の意で、不破の関は美濃と近江の境の関である。
結句「都忘るな」は、都を忘れるな、の意で、「な」は禁止を表す。
ふるさと:生まれ故郷
ふはのせき:美濃の国の関、三関の一つ
とぶらふ:見舞う、安否を尋ねる
- 作者
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藤原清正
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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君が手をかれゆく秋の末にしも 野飼ひに放つ馬ぞ悲しき
- 次の歌
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身を分くることのかたさにます鏡 影ばかりをぞ君に添へつる