身を分くることのかたさにます鏡
影ばかりをぞ君に添へつる
- 歌の意味
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我が身を二つに分けることは難しいので、この真澄の鏡に映る影だけを、あなたに添えて送ったことだ。
- 鑑賞
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巻第十九 離別歌 1314
詞書「遠き国にまかりける人に、旅の具つかはしける、鏡の箱の裏に書きつけてつかはしける」
身を分けることは難しいので、鏡に映る影だけをあなたに添えた、と詠んだ歌である。遠国へ旅立つ人について行けない身を、二つに分けられないもどかしさとして表し、せめて鏡に映した自分の姿を連れとして添えたと詠んでいる。
詞書によれば、遠い国へ下る人に旅の道具を贈った際、鏡の箱の裏に書きつけて贈った歌である。本巻の第千三百七首も、鏡に映る影を旅立つ人に添える趣向で詠まれている。
作者の「おほくぼののりよし」は大窪則善である。平安時代中期の官人とみられるが、詳しい伝は未詳である。
初句「身を分くる」は、我が身を二つに分ける、の意である。
二句「ことのかたさに」は、ことが難しいので、の意である。
三句「ます鏡」は、よく澄んで映る鏡、の意で、詞書の鏡を指している。本巻の第千三百七首の三句と同じ語である。
四句「影ばかりをぞ」は、映った姿だけを、の意で、「ぞ」は強意の係助詞である。
結句「君に添へつる」は、あなたに添えた、の意で、四句の「ぞ」を受けて連体形「つる」で結ぶ係り結びとなっている。
ますかがみ:よく澄んで映る鏡
たびのぐ:旅に用いる道具
- 作者
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大窪則善
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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今はとて立ち帰り行くふるさとの 不破の関路に都忘るな
- 次の歌
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初雁の我も空なるほどなれば 君も物憂き旅にやあるらん