初雁の我も空なるほどなれば
君も物憂き旅にやあるらん
- 歌の意味
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初雁が空にあるように、私も心がうわの空になっている時なので、あなたも気の進まない旅なのだろうか。
- 鑑賞
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巻第十九 離別歌 1315
詞書「この旅の出で立ちなん物憂く覚ゆると言ひければ」
初雁のように私も心が空にあるころなので、あなたも気の進まない旅なのだろうか、と詠んだ歌である。旅立ちが気が重いと言う人に、空を渡る初雁に寄せて、別れを前に落ち着かない自分の心と相手の心を重ねている。
詞書によれば、今度の旅の出立がなんとなく気が進まないと相手が言ったので詠んだ歌である。
作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。
初句「初雁の」は、秋に初めて渡って来る雁の、の意で、空を渡ることから二句の「空」を導いている。
二句「我も空なる」は、私も心がうわの空である、の意で、「空」に雁の飛ぶ空と、落ち着かない心を重ねている。
三句「ほどなれば」は、時なので、の意で、「ば」は原因、理由を表す。
四句「君も物憂き」は、あなたも気の進まない、の意で、詞書の「物憂く覚ゆる」を受けている。
結句「旅にやあるらん」は、旅なのだろうか、の意で、「や」は疑問の係助詞で、連体形「らん」で結ぶ係り結びとなっている。「旅」は渡りをする「雁」と縁がある。
はつかり:秋に初めて渡って来る雁
いでたつ:旅に出発する
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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身を分くることのかたさにます鏡 影ばかりをぞ君に添へつる
- 次の歌
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いとせめて恋しきたびの唐衣 ほどなくかへす人もあらなん