人知れず落つる涙は津の国の
ながすと見えて袖ぞ朽ちぬる
- 歌の意味
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人知れずこぼれ落ちる涙は、津の国の長洲ではないが、流すと見えて、袖が朽ちてしまったことだ。
- 鑑賞
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巻第十一 恋歌一 676
詞書「題しらず」
人知れずこぼれ落ちる涙は、津の国の長洲のように流れると見えて、袖が朽ちてしまったと詠む歌である。「ながす」に津の国の地名「長洲」と涙を「流す」を掛け、流れるほどの涙で袖が朽ちたことを嘆いている。前の第六百七十四首、第六百七十五首に続き、袖が朽ちることを詠んでいる。
初句「人知れず」は、人に知られないように、の意で、第六百三十四首の三句などと同じ句である。
二句「落つる涙は」は、こぼれ落ちる涙は、の意である。
三句「津の国の」は、摂津国の、の意である。
四句「ながすと見えて」は、「ながす」が摂津国の地名「長洲」と、涙を「流す」を掛ける掛詞である。
結句「袖ぞ朽ちぬる」は、袖が朽ちてしまった、の意で、係助詞「ぞ」を受けて完了の助動詞「ぬ」の連体形「ぬる」で結ぶ係り結びである。第六百七十四首の三句「朽ちにけり」と同じく、袖が朽ちることをいう。
ながす:摂津国の地名「長洲」と、涙を「流す」意を掛ける
つのくに:津の国。摂津国
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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君はただ袖ばかりをや朽たすらん 逢ふには身をもかふとこそ聞け
- 次の歌
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恋と言へば同じ名にこそ思ふらめ いかで我が身を人に知らせん