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ともともと慕ふ涙の添ふ水は
いかなる色に見えてゆくらん

歌の意味
「ともに、ともに」と慕って流す涙の加わった水は、どのような色に見えて流れてゆくのだろうか。
鑑賞
巻第十九 離別歌 1321

詞書「返し」
 ともにともにと慕う涙の加わった水は、どんな色に見えて流れてゆくのか、と詠んだ歌である。前歌の「ともともと」と「慕はれ」を受け、慕って流す涙が川の水に加わって流れてゆくさまを思いやっている。涙の色を問うのは、悲しみの深い涙を紅の涙とする表現を踏まえているとみられる。
 前歌に対する返しである。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。原文の作者表記は「よみ人も」とあるが、ここでは「よみ人しらず」として扱う。

 初句「ともともと」は、「ともに、ともに」と、の意とみられ、前歌の四句をそのまま受けている。
 二句「慕ふ涙の」は、慕って流す涙の、の意で、前歌の結句「慕はれ」を受けている。
 三句「添ふ水は」は、涙の加わった水は、の意である。
 四句「いかなる色に」は、どのような色に、の意で、悲しみの深さを涙の色で問うている。
 結句「見えてゆくらん」は、見えて流れてゆくのだろうか、の意で、「らん」は四句の「いかなる」を受けた疑問の推量を表す。

したふ:恋い慕う、後を追う
そふ:加わる、付き従う
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
背かれぬ松の千歳のほどよりも ともともとだに慕はれぞせし
次の歌
別るれどあひも惜しまぬ百敷を 見ざらむことや何か悲しき