秋の野に花てふ花を折りつれば
わびしらにこそ虫も鳴きけれ
- 歌の意味
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秋の野で花という花をすべて折ってしまったので、侘しそうに虫も鳴いていることだ。
- 鑑賞
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巻第七 物名 366
詞書「らに」
秋の野で花という花を折り尽くしてしまったので、虫も侘しそうに鳴いていると詠む歌である。花を失った野の寂しさを虫の声に託し、四句の「わびしらに」の音の続きに、詞書の「らに」の名を隠している。詞書の「らに」は、この歌に詠み込まれた物の名である。
初句「秋の野に」は、秋の野で、の意である。
二句「花てふ花を」は、花という花を、の意で、「てふ」は「といふ」がつまった形である。
三句「折りつれば」は、折ってしまったので、の意である。巻頭の第三百五十四首の三句と同じ句で、春の枝を折る歌と秋の花を折る歌とが響き合っている。本巻の第三百六十三首も花を折り尽くす歌である。
四句「わびしらにこそ」は、侘しそうに、の意で、「ら」は接尾語である。「らに」の名を隠している。係助詞「こそ」による強調である。
結句「虫も鳴きけれ」は、虫も鳴いていることだ、の意で、係助詞「こそ」を受けて已然形「けれ」で結ぶ。
らに:蘭。藤袴などの香りのある草を指す。「わびしらに」の音の続きに隠して詠み込む
- 作者
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よみ人しらず
- 出典
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拾遺和歌集
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忘れにし人のさらにも恋しきか むげにこじとは思ふものから
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