山里の草葉の露も繁からん
みのしろ衣縫はずとも着よ
- 歌の意味
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山里の草葉の露もさぞ多いことだろう。蓑の代わりとなるこの衣を、仕立ててはいなくとも着てほしい。
- 鑑賞
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巻第十九 離別歌 1354
詞書「中原のむねきが美濃の国へまかり下り侍りけるに、道に女の家に宿りて、言ひつきて去りがたく覚えければ、二、三日侍りて、やむごとなきことによりてまかり立ちければ、衣を包みて、それが上に書きて送り侍りける」
山里の草葉の露も多いだろう、蓑の代わりの衣を縫わなくとも着よ、と詠んだ歌である。旅の途中で親しくなった女と別れるにあたり、衣を贈って、露の多い山里で蓑の代わりに着てほしいと、別れの涙をにじませつつ心を残している。
詞書によれば、作者が美濃の国へ下る途中、ある女の家に宿って親しくなり、去りがたく思って二、三日とどまったが、急ぎの用事で出立することになったので、衣を包んで、その上に書いて送った歌である。
作者の中原宗興は、平安時代中期の官人とみられるが、詳しい伝は未詳である。詞書では「中原のむねき」と記されている。
初句「山里の」は、山里の、の意で、女の住む所を指している。
二句「草葉の露も」は、草の葉に置く露も、の意で、別れの涙を重ねている。
三句「繁からん」は、多いことだろう、の意で、「らん」は現在の推量を表す。ここで句切れとなる。
四句「みのしろ衣」の「みの」は、雨具の「蓑」と国名の「美濃」を掛けた掛詞で、蓑の代わりの衣の意に、作者の行き先の美濃を重ねている。
結句「縫はずとも着よ」は、仕立ててはいなくとも着てほしい、の意で、命令形で結んでいる。
みのしろごろも:蓑の代わりに着る衣、「蓑」に国名の「美濃」を掛ける
いひつく:言い寄って親しくなる
やむごとなし:捨て置けない、重要である
- 作者
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中原宗興
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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都まで音にふりくる白山は ゆきつきがたき所なりけり
- 次の歌
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都にて山の端に見し月なれど 海より出でて海にこそ入れ