斧の柄の朽ちむも知らず君が世の
尽きむ限りはうち試みよ
- 歌の意味
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斧の柄が朽ちるのも気づかないほどに、あなたの御代が尽きる限りまで、碁を打って試みてください。
- 鑑賞
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巻第二十 慶賀歌 1383
詞書「院の殿上にて、宮の御方より碁盤出ださせたまひける、碁石笥の蓋に」
斧の柄が朽ちるのも知らずに、あなたの御代の尽きる限りは碁を打ち試みよ、と詠んだ歌である。碁を見ているうちに斧の柄が朽ちるほどの歳月が過ぎたという故事を踏まえ、碁を楽しみながら、限りなく長い御代を過ごしてほしいと祝っている。
詞書によれば、院の殿上で、宮の御方から碁盤を出された時、その碁石を入れる器の蓋に書いた歌である。斧の柄の故事は、晋の王質が山中で童子の碁を見ているうちに斧の柄が朽ち、里に帰ると長い年月が過ぎていたという話である。
作者は命婦いさぎよき子とあり、命婦として宮中に仕えた女性であるが、詳しい伝は未詳である。
初句「斧の柄の」は、斧の柄が、の意で、碁にまつわる故事を踏まえている。
二句「朽ちむも知らず」は、朽ちるのも気づかずに、の意で、碁に没頭して時を忘れるさまをいう。
三句「君が世の」は、あなたの御代の、の意である。
四句「尽きむ限りは」は、尽きる限りまでは、の意で、限りなく続く御代を祝っている。
結句「うち試みよ」の「うち」は、碁を「打ち」と、接頭語の「うち」を掛けた掛詞で、碁を打って試みよ、の意である。命令形で結んでいる。
をののえ:斧の柄、仙人の碁を見ているうちに斧の柄が朽ちたという故事による
ごいしけ:碁石を入れる器
うちこころみる:碁を「打ち」試みる意と、接頭語の「うち」を掛ける
- 作者
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命婦いさぎよき子
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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君がため移して植うる呉竹に 千代も籠もれる心地こそすれ
- 次の歌
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並み立てる松の緑の枝分かず 折りつつ千代を誰とかは見む