並み立てる松の緑の枝分かず
折りつつ千代を誰とかは見む
- 歌の意味
-
並び立つ松の緑の枝を、どれと分け隔てもせずに折りながら、千年の先までも、あなた以外の誰と共に見ようか。
- 鑑賞
-
巻第二十 慶賀歌 1384
詞書「西四条の親王の家の山にて、女四の親王のもとに」
並び立つ松の緑の枝を分け隔てなく折りながら、千代を誰と共に見ようか、と詠んだ歌である。松の枝を折って贈り、千年変わらない松に寄せて、あなた以外の誰とも千代を共にしようとは思わないと、変わらぬ契りを伝えている。
詞書によれば、西四条の親王の家の築山で、女四の宮のもとに送った歌である。女四の宮は、醍醐天皇の皇女で作者の妻となった勤子内親王を指すとみられる。
作者の「右大臣」は藤原師輔である。藤原忠平の次男で、右大臣に至り、九条殿と呼ばれた。娘の安子は村上天皇の中宮となった。
初句「並み立てる」は、並び立っている、の意である。
二句「松の緑の」は、常緑の松の、の意で、千年変わらないものとされる。
三句「枝分かず」は、どの枝と分け隔てもせずに、の意である。
四句「折りつつ千代を」は、枝を折りながら千年を、の意で、松の千年に契りの長さを重ねている。
結句「誰とかは見む」は、誰と共に見ようか、あなた以外にはない、の意で、「かは」は反語の係助詞で、連体形「む」で結ぶ係り結びとなっている。
なみたつ:並んで立つ
わく:区別する、分け隔てる
- 作者
-
藤原師輔
- 出典
-
後撰和歌集
- 前の歌
-
斧の柄の朽ちむも知らず君が世の 尽きむ限りはうち試みよ
- 次の歌
-
祝ふこと有りとなるべし今日なれど 年のこなたに春も来にけり