折りて見る袖さへ濡るる女郎花
露けきものと今や知るらん
- 歌の意味
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折って見る私の袖までも濡れる女郎花よ。露に濡れがちなもの、涙がちなものと、今はわかっただろうか。
- 鑑賞
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巻第六 秋歌中 281
詞書「大輔が後涼殿に侍りけるに、藤壺より女郎花を折りてつかはしける」
女郎花を折って見る自分の袖までも露に濡れると詠み、恋がいかに涙がちなものかを、今はあなたもわかっただろうかと問いかけた歌である。露に濡れる女郎花に寄せて、恋の涙を訴えている。
詞書によれば、大輔という女房が後涼殿に控えていたので、作者が藤壺から女郎花を折って送ったものである。本巻の第二百八十一首から第二百八十四首までは、右大臣藤原師輔と大輔との贈答が四首続いている。
作者の「右大臣」は藤原師輔である。関白藤原忠平の次男で、後撰和歌集が撰ばれたころ右大臣であった。九条殿と呼ばれ、娘の安子は村上天皇の中宮となった。
初句「折りて見る」は、折って見る、の意で、女郎花を折り取ったことを示す。
二句「袖さへ濡るる」の「さへ」は添加の副助詞で、袖までも濡れる、の意である。露には涙が重ねられている。
三句「女郎花」は、女郎花よ、と呼びかけるとともに、女郎花を贈った相手の大輔をなぞらえている。
四句「露けきものと」は、露に濡れがちなものと、の意で、恋の涙に濡れることを表す。次歌の第二百八十二首は「かからん露を」と露を受けている。
結句「今や知るらん」の「や」は疑問の係助詞で、連体形「らん」と係り結びをなし、今はわかっただろうか、の意である。
こうらうでん:宮中の殿舎の一つ、後涼殿
ふぢつぼ:宮中の殿舎の一つ、飛香舎の別名
- 作者
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藤原師輔
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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植ゑたてて君が標結ふ花なれば 玉と見えてや露も置くらん
- 次の歌
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万代にかからん露を女郎花 何思ふとかまだき濡るらん