植ゑたてて君が標結ふ花なれば
玉と見えてや露も置くらん
- 歌の意味
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植え立てて、あなたが標を結って大切にしている花なので、露も玉と見えるように置いているのだろう。
- 鑑賞
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巻第六 秋歌中 280
詞書「御返し」
法皇が植えて標を結い、大切にしている花なので、露もその花にふさわしく玉と見えるように置いているのだろうと返した歌である。前歌の嘆きを受け、露のはかなさではなく、露の美しさを称えて法皇を慰めている。
前歌の第二百七十九首と贈答をなす。
作者の伊勢は伊勢守藤原継蔭の娘で、宇多天皇の女御藤原温子に仕えた。宇多天皇の寵愛を受けて皇子を産み、のちに敦慶親王との間に中務をもうけた。三十六歌仙の一人で、小倉百人一首には「難波潟短き葦のふしの間も」の歌が採られている。
初句「植ゑたてて」は、植えて立てて、の意で、法皇が自ら植えた花であることを示す。
二句「君が標結ふ」の「標結ふ」は、自分のものとして縄を張り、しるしをつける意で、法皇が大切にしている花であることを表す。
三句「花なれば」の「ば」は理由を表し、花であるので、の意である。
四句「玉と見えてや」の「や」は疑問の係助詞で、玉と見えるように、の意である。前歌の「白露」を美しい玉に見立てて受けている。
結句「露も置くらん」の「らん」は現在推量の助動詞の連体形で、四句の「や」と係り結びをなし、露も置いているのだろう、の意である。
しめゆふ:所有のしるしに縄を張る、自分のものとして大切にする
- 作者
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伊勢
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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白露の変はるも何か惜しからん ありての後もやや憂きものを
- 次の歌
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折りて見る袖さへ濡るる女郎花 露けきものと今や知るらん