白露の変はるも何か惜しからん
ありての後もやや憂きものを
- 歌の意味
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白露が消えて変わってしまうのも、どうして惜しいことがあろうか。この世に長らえていても、しだいにつらくなるものなのに。
- 鑑賞
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巻第六 秋歌中 279
詞書「亭子院の御前の花の、いとおもしろく朝露の置けるを、召して見せさせ給ひて」
白露が消えてしまうのも惜しむことはない、長らえていても、しだいにつらくなるものなのだからと詠んだ歌である。はかなく消える露に寄せて、生き長らえることのつらさを表している。
詞書によれば、亭子院の御前の花に朝露が美しく置いていたのを、人を召して見せた折に詠んだものである。次歌は伊勢の返歌であり、伊勢を召して見せたことがわかる。
作者の「法皇御製」は宇多法皇である。光孝天皇の皇子で、醍醐天皇に譲位したのち出家して法皇となった。亭子院に住み、歌合を数多く催した。
初句「白露の」は、白く光る露が、の意で、花に置いた朝露を示す。
二句「変はるも何か」の「変はる」は、露が消えて様子が変わることをいう。「か」は反語の係助詞である。
三句「惜しからん」は、惜しいだろうか、いや惜しくはない、の意で、二句の「か」と連体形「ん」が係り結びをなす。ここで句切れとなる。
四句「ありての後も」は、生き長らえた後も、の意で、露が消えずに残ることを人の命に重ねている。
結句「やや憂きものを」の「やや」は、しだいに、の意、「ものを」は詠嘆を込めた逆接の接続助詞で、しだいにつらくなるものなのに、の意である。
ていじのゐん:宇多法皇の御所、亭子院
- 作者
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宇多法皇
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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おほかたも秋はわびしき時なれど 露けかるらん袖をしぞ思ふ
- 次の歌
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植ゑたてて君が標結ふ花なれば 玉と見えてや露も置くらん