結びおきし種ならねども見るからに
いとどしのぶの草を摘むかな
- 歌の意味
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実を結んで残した種ではないけれども、この文を見るとすぐに、ますます亡き人を偲ぶ忍ぶ草を摘むことだ。
- 鑑賞
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巻第二十 慶賀歌 1393
詞書「返し」
結んで残した種ではないけれども、見るとすぐにいっそう偲ぶ草を摘むことだ、と詠んだ歌である。前歌の「種」を受け、子という種は残らなくても、残された手紙を見るだけで、亡き人を偲ぶ思いがいっそう募ると答えている。
前歌の右大臣藤原師輔の歌に対する返しである。
作者は「内侍のかみ」とあり、内侍司の長官である尚侍を指す。誰を指すかについて定説を見ない。
初句「結びおきし」は、実を結んで残しておいた、の意で、前歌の「種」に応じている。
二句「種ならねども」は、種ではないけれども、の意で、前歌の初句「種もなき」を受けている。
三句「見るからに」は、見るとすぐに、の意で、前歌の手紙を見ることをいう。
四句「いとどしのぶの」の「しのぶ」は、「忍ぶ草」と、亡き人を「偲ぶ」を掛けた掛詞である。
結句「草を摘むかな」は、草を摘むことだ、の意で、「かな」は詠嘆を表す。「結ぶ」「種」「草」「摘む」は縁語である。
しのぶ:「忍ぶ草」の意と、亡き人を「偲ぶ」意を掛ける
むすぶ:実を結ぶ
- 作者
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内侍のかみ
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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種もなき花だに散らぬ宿もあるを などか形見の子だになからむ
- 次の歌
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ここら世を聞くが中にも悲しきは 人の涙も尽きやしぬらむ