墨染の濃きも薄きも見る時は
重ねてものぞ悲しかりける
- 歌の意味
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墨染の喪服の色の濃いのも薄いのも見る時には、重ね重ね悲しく思われることだ。
- 鑑賞
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巻第二十 慶賀歌 1404
詞書「法皇の御服なりける時、鈍色のさいでに書きて人に贈り侍りける」
墨染の濃いのも薄いのも見る時は、重ねて物が悲しい、と詠んだ歌である。宇多法皇の喪に服し、人々のまとう喪服の色の濃淡を見るにつけ、皆が法皇を悼んでいることを知って、悲しみがいっそう重なると詠んでいる。
詞書によれば、宇多法皇の喪に服していた時、鈍色の布の切れ端に書いて人に贈った歌である。
作者の「京極御息所」は藤原褒子である。藤原時平の娘で、宇多法皇の寵愛を受け、京極御息所と呼ばれた。
初句「墨染の」は、墨で染めた黒い喪服の、の意である。
二句「濃きも薄きも」は、色の濃いのも薄いのも、の意で、故人との縁の深さによって喪服の色が異なることを踏まえている。
三句「見る時は」は、見る時には、の意である。
四句「重ねてものぞ」は、重ね重ね物事が、の意で、「重ね」は衣の縁語である。「ぞ」は強意の係助詞である。
結句「悲しかりける」は、悲しく思われることだ、の意で、四句の「ぞ」を受けて連体形「ける」で結ぶ係り結びとなっている。本巻の第千三百九十九首も下の句を「ものぞ悲しかりける」で結んでいる。
すみぞめ:墨で染めた黒い色、喪服
にびいろ:濃い灰色、喪服の色
さいで:布の切れ端
ぶく:喪に服すること
- 作者
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藤原褒子
- 出典
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後撰和歌集
- 前の歌
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ひとり行くことこそ憂けれふるさとの 奈良の慣らひて見し人もなみ
- 次の歌
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昨日まで千代と契りし君を我が 死出の山路に尋ぬべきかな