ほのかにぞ鳴き渡るなる郭公
み山を出づる今朝の初声
- 歌の意味
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かすかに鳴きながら渡っていくようだ。ほととぎすの、山奥を出てきた今朝の初声よ。
- 鑑賞
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巻第二 夏歌 100
詞書「天暦御時歌合に」
山奥から出てきたほととぎすが、今朝初めてかすかに鳴きながら空を渡っていく声を聞きとめた歌である。まだはっきりとは聞こえない初声のかすかさに、待ちわびた鳥の訪れの初々しさがとらえられている。詞書によれば、村上天皇の天暦の御代に催された歌合に出された一首である。
作者の「坂上望城」は、平安時代中期の歌人で、坂上是則の子である。梨壺の五人の一人として、後撰和歌集の撰進と万葉集の訓読に携わった。
初句「ほのかにぞ」は、かすかに、の意で、「ぞ」は係助詞であり、二句の「なる」で結ぶ係り結びとなる。本文では「髣髴」の字を当てている。
二句「鳴き渡るなる」は、鳴きながら渡っていくようだ、の意で、「なる」は音によって推定する助動詞「なり」の連体形である。姿は見えず声だけが聞こえることを示し、ここで句切れとなる。
三句「郭公」は、山から出てきたほととぎすをいう。
四句「み山を出づる」は、山奥を出てくる、の意である。次歌の第百一首も「み山出でて」と詠み、ほととぎすが山を出る場面が続く。本巻の第百二首でも山辺を鳴いて出るほととぎすが詠まれる。
結句「今朝の初声」は体言止めで、本巻の第九十六首で夜更けに目を覚ましてまで待った初声が、ここで今朝ようやく聞かれる形となっている。
みやま:山奥。深山。「み」は接頭語
- 作者
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坂上望城
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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山里に宿らざりせば郭公 聞く人もなき音をや鳴かまし
- 次の歌
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み山出でて夜半にや来つる郭公 暁かけて声の聞こゆる