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山里に宿らざりせば郭公
聞く人もなき音をや鳴かまし

歌の意味
もし私が山里に泊まらなかったならば、ほととぎすは聞く人もいない声で鳴いたのだろうか。
鑑賞
巻第二 夏歌 99

詞書「題しらず」
 山里に泊まったおかげでほととぎすの声を聞くことができたが、もし泊まらなかったら、ほととぎすは誰にも聞かれずに鳴いていたのだろうかと思いやる歌である。偶然の宿りによって初音に出会えた喜びを、反実仮想の形で表している。

 初句「山里に」は、前歌と同じ語で始まり、二首が対をなす。前歌が山里に知り合いがいればと願ったのに対し、本歌は自ら山里に宿ってほととぎすを聞いている。
 二句「宿らざりせば」は、泊まらなかったならば、の意で、「せば」は反実仮想の条件を表し、結句の「まし」と呼応する。
 三句「郭公」は、山里で鳴くほととぎすをいう。
 四句「聞く人もなき」は、聞く人もいない、の意で、自分がいなければ誰も聞く者がいないという山里の寂しさを示す。
 結句「音をや鳴かまし」は、声で鳴いたのだろうか、の意で、「や」は疑問の係助詞、「まし」は反実仮想の助動詞であり、連体形で結ぶ。

ね:声。鳴き声。音
作者
よみ人しらず
出典
拾遺和歌集
前の歌
山里に知る人もがな郭公 鳴きぬと聞かば告げに来るがに
次の歌
ほのかにぞ鳴き渡るなる郭公 み山を出づる今朝の初声