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天の河流れて恋ふる七夕の
涙なるらし秋の白露

歌の意味
天の川が流れるように、長い時を恋い続ける織女の涙であるらしい、この秋の白露は。
鑑賞
巻第五 秋歌上 242

詞書は前の歌に続き「七夕を詠める」
 秋の白露は、天の川が流れるように長い時を恋い続ける織女の流す涙であるらしいと見立てた歌である。地上に置く露を、天上の織女の涙と見なして、七夕の恋の切なさを表している。
 本巻の第二百三十九首から第二百四十七首までは、詞書「七夕を詠める」のもとに九首の七夕の歌が並び、天の川を隔てた織女と彦星の逢瀬をさまざまな面から詠んでいる。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「天の河」は、天の川、の意で、次の「流れて」を導いている。
 二句「流れて恋ふる」の「流れて」は、川が流れる意と、時が経つ意、涙が流れる意を重ねている。本巻の第二百三十三首の「天の河流れて恋ひは」と同じ句を用いている。
 三句「七夕の」は、織女の、の意である。
 四句「涙なるらし」の「らし」は根拠のある推量で、涙であるらしい、の意である。ここで句切れとなる。
 結句「秋の白露」は体言止めで、四句と倒置の関係にあり、涙と見立てたものが白露であることを最後に明かしている。本巻巻末の第二百七十首も秋の露を白玉と見立てている。

しらつゆ:白く光って見える露
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
今日よりは天の河原はあせななん そこひともなくただ渡りなん
次の歌
天の河瀬々の白波高けれど ただ渡り来ぬ待つに苦しみ