山里に知る人もがな郭公
鳴きぬと聞かば告げに来るがに
- 歌の意味
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山里に知り合いがいればよいのに。ほととぎすが鳴いたと聞いたら、知らせに来てくれるように。
- 鑑賞
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巻第二 夏歌 98
詞書「延喜御時御屏風に」
ほととぎすが鳴いたらすぐに知らせてもらえるよう、山里に知り合いがいてほしいと願う歌である。ほととぎすは山里でまず鳴くものとされ、その初音をいち早く知りたいという都人の心が表れている。詞書によれば、醍醐天皇の延喜の御代の屏風に添えた歌である。
作者の「つらゆき」は紀貫之である。古今和歌集の撰者の中心人物で、仮名序を執筆し、土佐日記を著した。三十六歌仙に数えられる。
初句「山里に」は、ほととぎすがまず鳴くとされた山里をいう。次歌の第九十九首も同じ「山里に」で始まり、二首が対をなす。
二句「知る人もがな」は、知り合いがいればよいのに、の意で、「もがな」は願望の終助詞である。ここで句切れとなる。
三句「郭公」は、待ちわびるほととぎすをいう。
四句「鳴きぬと聞かば」は、鳴いたと聞いたならば、の意で、「ば」は仮定条件を表す。
結句「告げに来るがに」は、知らせに来るように、の意で、「がに」は目的や程度を表す接続助詞である。前歌が一声を自ら聞きたいと願ったのに対し、本歌は人づてに知らせてもらうことを願う。
しるひと:知り合い。知人
- 作者
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紀貫之
- 出典
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拾遺和歌集
- 前の歌
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家に来て何を語らむあしひきの 山郭公一声もがな
- 次の歌
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山里に宿らざりせば郭公 聞く人もなき音をや鳴かまし