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竜田川秋にしなれば山近み
流るる水も紅葉しにけり

歌の意味
竜田川は、秋になったので、山が近いために、流れる水までも紅葉したことだ。
鑑賞
巻第七 秋歌下 414

詞書「題しらず」
 竜田川は秋になったので、紅葉の山が近いために、流れる水までも紅葉したと詠んだ歌である。紅葉を浮かべて紅に染まった川の水を、水そのものが紅葉したと見る機知の歌である。
 前歌が川の色から山の紅葉の散るさまを推し量ったのに対し、本歌は川の水そのものが紅葉したと見ている。
 作者の「つらゆき」は紀貫之である。紀望行の子で、古今和歌集の撰者の中心となり、仮名序を書いた。土佐守などを務め、土佐日記の作者としても知られる。三十六歌仙の一人である。

 初句「竜田川」は、竜田山のふもとを流れる川で、前歌と同じ初句である。
 二句「秋にしなれば」の「し」は強めの副助詞で、秋になったので、の意である。
 三句「山近み」は、山が近いので、の意のミ語法である。
 四句「流るる水も」は、流れる水までも、の意である。
 結句「紅葉しにけり」の「けり」は気づきの詠嘆で、紅葉したことだ、の意である。本巻の第三百五十九首と同じ結句で、ここでは山ではなく水が紅葉したと詠んでいる。

もみづ:草木の葉が赤や黄に色づく
作者
紀貫之
出典
後撰和歌集
前の歌
竜田川色紅になりにけり 山の紅葉ぞ今は散るらし
次の歌
紅葉葉の流るる秋は川ごとに 錦洗ふと人や見るらむ