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紅葉葉の流るる秋は川ごとに
錦洗ふと人や見るらむ

歌の意味
紅葉が流れる秋は、川という川で、錦を洗っていると人は見るだろうか。
鑑賞
巻第七 秋歌下 415

詞書「題しらず」
 紅葉が流れる秋は、どの川でも、錦を洗っているのだと人は見るだろうかと詠んだ歌である。川面を流れる色とりどりの紅葉を、川で洗いさらす錦に見立てている。
 中国の蜀では、織り上げた錦を川の水で洗いさらしたと伝える。前の二首が竜田川の紅葉を詠んだのに対し、本歌はすべての川に紅葉の流れる秋を詠んでいる。
 作者は「よみ人しらず」で、詠み手の名は伝わらない。

 初句「紅葉葉の」は、紅葉した木の葉が、の意である。
 二句「流るる秋は」は、流れる秋は、の意である。
 三句「川ごとに」は、川という川で、の意である。
 四句「錦洗ふと」は、錦を洗っているのだと、の意で、流れる紅葉を錦に見立てている。
 結句「人や見るらむ」の「や」は疑問の係助詞で、連体形「らむ」と係り結びをなし、人は見るだろうか、の意である。本巻の第四百四首も同じ結句で、紅葉を錦と見る人の目を詠んでいる。

にしき:色とりどりの糸で模様を織り出した絹織物
作者
よみ人しらず
出典
後撰和歌集
前の歌
竜田川秋にしなれば山近み 流るる水も紅葉しにけり
次の歌
竜田川秋は水なくあせななん 飽かぬ紅葉の流るれば惜し